「社長1人の会社」と「スタッフを5人以上雇っている個人事業主」は「厚生年金保険」と「健康保険」に加入義務がある

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個人事業主やフリーランスの場合、「国民年金」と「国民健康保険(略称「国保」)」に加入している人がほとんだと思います。

しかし、個人事業主やフリーランスでも、常時雇用する従業員(バイトやパートなどのスタッフ)が5人以上いる場合、「厚生年金保険」と「健康保険」(略称「社保」)に加入することが義務付けられています。

ちなみに、法人であれば、役員(社長)1人の会社でも、原則として「厚生年金保険」と「健康保険」に強制加入です。

「常時雇用する従業員が5人以上の個人が経営する事業所」と「株式会社などの法人事業所」は、「厚生年金保険」と「健康保険」の加入の届け出は、法律で事業主の義務とされています。

未加入のままでいることは法令違反

「常時雇用する従業員が5人以上の個人が経営する事業所」もしくは「株式会社などの法人事業所」なのに、「厚生年金保険」と「健康保険」に未加入のままいることは法令違反になります。

社会全体に対しては、以下のようなマイナス要素を及ぼしています。

  • コンプライアンス(法令遵守)に反している
  • 保険料を負担するという責任を果たしてない
  • 適正に加入している事業所と比べて、公平性の観点から問題がある。

実際、最近では未加入事業所を排除する取り組みが進められています。

たとえば、建設業界では、官民一体となって社会保険加入に取り組んでいるので、未加入事業者を現場から排除する取り組みが進められています。

排除だけでなく、年金事業所へ通報する仕組みも構築されています。

建設業以外でも、日本年金機構は自治体や有力企業に対して、未加入事業者とビジネス上で契約しないように要請しています。

さらに、「厚生年金保険」と「健康保険」に未加入がダメな理由に、従業員に対してもマイナス要素が多いことがあります。

  • 従業員の将来受け取れる年金額が少なくなる
  • 傷病手当金(病気等で休業した際の給与補償)等の保障を受けることができない
  • 障害厚生年金・遺族厚生年金を受けれない場合がある

事業者が加入届け出をしなかったことで、損害賠償が命じられた判例もあります。

厚生年金の受給権を取得できなかった損害につき、賠償責任があるとして、9名に対して約3,4000万円の支払いが命じられる。(京都地方裁判所 平成11年9月30日判決文要旨)

「届出を怠ることによって被用者が厚生年金に加入する権利を侵害する結果とならないように注意すべき義務があるというべきであり、届出でしなかったことについて過失がある。」

未加入のまま居続けると、「来所通知書」が届いたり、「立ち入り検査」が実施されることも。

年金事業所は「厚生年金保険」と「健康保険」の未加入事業者に対し、文書や電話、訪問等により加入指導を実施しています。

最初は文書での通知です。

複数回の通知にも関わらず無視して未加入のままでいると、「来所通知書」が届きます。

来所通知書

「来所通知書」を無視した場合、被保険者となるべき人の権利を保護するために、「立入検査」が実施される場合があります。

そして、職権により、事実に基づいて遡って、加入手続きを行います。

立入検査は「厚生年金保険法及び健康保険法」に基づくものであり、検査や賃金台帳の提示を拒否することはできません。

拒否した場合、罰則(6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金)が適用される場合があります。

特に、2016年から日本年金機構は未加入事業者をなくそうと本気に取り締まっているので、未加入の場合は、早めに加入することをおすすめします。

罰則を課されてから、「もっと早く加入しておけばよかった・・・」と言っても遅いですから。